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  生産管理基礎講座      - TOC(Theory of Constrains)理論の基礎 -

 


 

  1. TOCとは?


  イスラエルの物理学者エリヤフ・M・ゴールドラット博士が1980年代にアメリ

  カで提唱した生産スケジューリングをベースとした経営手法。工場の生産性は、

  制約条件工程の能力以上は絶対に向上しないという原理をもとに、制約条件工程

  (ボトルネック)を見つけ、それを集中的に改善、管理することにより生産性を

  飛躍的に高め、仕掛在庫の激減を行うための手法で、この手法を制約条件の理論

  (Theory Of  Constraints)と名づけました。

 

  TOCは利益を出すためにはどうしたらよいかということを理論化したもので

 そのために 売上値から資材費だけを引いたスループットを中心に利益を最

 大化する方法論を導入しました。すなわち,TOCでは利益を出すために以下

 の3つの条件を満たすことを主張しています。


        (1)スループットを増加
        (2)在庫、仕掛りの減少
        (3)経費(固定費などの業務費用)を減少

  そして,この3つは(1)>(2)>(3)で重要であることを指摘していま

 す。問題はスループットを上げるにはどうしたらよいかということです。こ

 こで,TOCはもうひとつの重要な概念である制約条件(ボトルネック)を導

 入しています。ボトルネックとは,スループットを上げるための障害になる要

 素です。したがってボトルネックをいかに改善していくかがスループットを増

 大するための重要な条件となります。

 

     
   

 

   

 

     
     

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 2. TOCの改善ステップ

 
 
   TOCでは以下の図の如く5つの改善ステップでボトルネックの改善をして

  いきます。

 

STEP 1 : 制約条件を見つける

 

   最初のステップは制約条件を見つけることですが、これは生産性とリードタ

 イムを決定しているボトルネック工程を探すことです。

  ボトルネックを見つける基本的な方法は以下の図のごとくとりわけ稼働率が

 高い(負荷がかかっている)設備を中心に見つけることが出来ます。その他

 仕掛り量、流動分析、IE手法等による見つけ方もあります。

 

              

 

STEP 2 : 制約条件を徹底的に活用する

 

    ボトルネック工程を発見したら次のステップとしては、ボトルネック工程

   を徹底的に活用する必要があります。そのため、まず生産計画の段階におい

   て重要が生産能力を大きく上回っている場合は、スループットを最大にする

   プロダクトミックスを決める必要があります。そして次にスケジューリング

   とバッファーをボトルネック中心に管理することによりスループットを増大

   させます。

 

STEP 3 : 他を制約条件に従属させる

 

    ステップ3では 資材の投入工程をボトルネック工程に同期させ,コントロ

   ールします。つまり,ボトルネックで処理できる量しか工程投入をしないわ

   けです。従って、非ボトルネック工程は100%稼動することをやめます。

   あくまでもボトルネック工程と投入工程だけをコントロールします。また、

   ロットサイズを調整することによりスループットを増大するようにします。

 

STEP 4 : 制約条件を解消する

 

    ステップ3までの過程でボトルネック工程の改善に限界がある場合は、投資することによりボトルネックの解消を行います。解消の内容としては、ボトルネック工程の能力向上、新規設備の導入、遊休設備の改造、操業時間の向上などが上げられます。

 

STEP 5 : 惰性に注意しSTEP1へ戻る

 

    ステップ1から5までをボトルネックの工程がどのように改善されたか判

   断しながら繰り返します。ボトルネックにおける工程処理能力を高めると、

   他の工程がボトルネック工程になる可能性があります。

 

 3. DBR法(ドラム・バッファー・ロープ)の概念

   TOCでは生産スケジュール及び制御の方法としてDBR法を用いている。

 DBRはスループットとを最大にする目的で資源を円滑に管理するたに使われ

 る技法である。

    ここでドラム、バッファー、ロープはDBR方の基本機能を比喩している言葉

  でありその意味は以下の如くである。

 

ドラム  :システムの制約工程で設定される生産ペース

バッファー:生産の不確実性に対する保護のための時間余裕

ロープ  :制約工程からシステムの開始工程(入口)への伝達プロセス

         ロープを通して、開始工程における投入量を制約条件の状況

         に合わせ調整する。


     

4. 直接原価計算とスループット会計の比較

 

1)製造原価

    製造原価は生産工程で発生する基本的な原価で、生産管理に重要な役割を

   果たす。

 製造原価は項目に分類される。

   1.材料費 

  @   直接材料費--- 原料、素材料費、購入部品費

  A   間接材料費--- 補助材料費、消耗品費

 2.直接労務費

        1個の製品の製造に必要な直接作業に対する加工賃金

 3.直接経費

         製造に当たって直接必要な経費(外注費、加工費、特許使用料等)

 4.製造間接費

         製造作業の補助的な諸々の費用(原価償却費、保険料、電力費、光熱

     費等)

 

2)原価計算

    原価計算にはいくつかの方法があるが、代表的なものとしては個別原価計

   算と直接原価計算がある。

 

 1.個別原価計算

        製品個別に製造原価を計算する。

        以下の表では製品がXとYの2つの部品から出来ている場合の製造原価表

    である。

 

 

   2.直接原価計算

    いくつかの種類の製品を作る場合、製造間接費等特に全体的な固定費の

  配賦をしない方式である。

 

   

                                           

 

3) スループット会計

 

    スループット会計は従来の原価計算と違い間接費の“配賦”を行いません。

   この"配賦”は企業によって定められた配賦基準に従って複雑な計算式を用

   い、様々な費用を一個あたりの原価として計上します。そこでスループット

   会計では配賦が必要とされるような業務費用(人件費、減価償却費等)は個

   別の原価には配賦せず、利益を計算する際に一括して差し引きます。したが

   って製品個別の原価を計算しません

 

           

 

   

                                                                    

     
                 
   

 

   
   

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